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日本、自殺死亡者3万人 ~あなたの地域は大丈夫ですか~

  • 沖縄県北中城村の住民を対象に心の健康に関するある連載を書いています。
    今度は、その連載を紹介しますので、是非、ご一読ください!

    【連載②】 

    日本、自殺死亡者3万人 ~あなたの地域は大丈夫ですか~
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    皆さんは自殺問題についてどのぐらい関心を持っているのでしょうか。"自殺は本人の信条だから仕方ない""死ぬと言う人ほど死なないものだ""自殺は何の前触れもなく起こる"など、それぞれの思いがあるかと思いますが、しかし、これらのすべては自殺に対する誤解だとすでに明らかになっています。皆さんはわかっていましたか?

    毎年どのぐらいの人が自らの手で命を絶っているのでしょうか。世界の自殺者を時間で換算すると約30秒に一人、日本だけに限定すると約16分に一人、沖縄県では1週間で約8.8人が自殺で亡くなります(沖縄県は全国で自殺率が上位に位置)。これは、交通事故や他殺による死亡者数よりもはるかに多い数値ですが、多くの人がこの問題に対して認識は低いのが現状です。

    それでは、皆さんが暮らしているこの地域はいかがでしょうか?実は、国や県内の他の市町村の自殺死亡率と比較した場合、男・女性いずれも高い傾向で推移しています。2003年~2007年の10万人当たりの自殺死亡率を地域統計からみると県内の41市町村のなかで北中城村は、男性はワースト10位(41.2)・女性はワースト8位(12.7)に位置しています。これらの結果から推察すると、この地域においても自殺問題を改善するための社会的・医療的な対策が急務であると考えられます。同時に、自殺や心の病に関する偏見をなくすための意識啓発、自殺のサインに気づき、見守り、つなげる人材(ゲートキーパー)の育成支援が必要であることがわかります。

    自殺は一つの原因だけで起こるものではなく、いくつかの問題が重なり合った結果、起こる現象であるため、その対策も特定した危険因子の解決だけに留まらない総合的なアプローチが必要です。単独で行われる医療支援、社会支援、教育支援のあり方から脱皮し、総合的な連携を図ることが重要で、さらに、地域全体がこれらの問題に関心を持ち、偏見をなくし、そして、命を大切に思うよう啓発をしていくことが大切です。地域の中に、誰かの悩みに気づき、支えたいと思える人が増えるのであれば、もはやこれは自殺対策だけに留まらず、共に支え合える社会の再生を目指す地域づくりにも結びつきます。

    自殺対策は"死なないで"という支援ではありません。むしろ、"一緒に生きよう"という命のメッセージです。人生の中で、望んでもいなかったある出来事により追い込まれた結果、「死」を考える人々。私たちは彼らの心に何を届けることができるのでしょうか。次回は、私たちにできることについて考えたいと思います。

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