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【連載】健保の窓《NO.195》 ◆自分との向き合いⅠ(内面への関心)

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    自分との向き合いⅠ ~内面に関心を持つ~ 

    自分の内面と向き合っている人の話を聞くと、向き合いの中で心理的苦痛を経験すると言います。抑圧していた過去の精神的・心理的トラウマが蘇り、その痛みがまるで今のことのように現われ、本人を苦しめるからだそうです。実にこれは向き合いを通して変わろうとする人なら、だれでも経験することでしょう。

    混乱してはいけないのは、この痛みは過去のもので、現実のものではないということです。これを認識しないと自分の成長を妨げている内面の子ども(心の傷)と向き合った時、それを否定し、避けてしまいます。これは、過去のトラウマが現在の自分を縛って不安にさせた結果でもありますが、この状態では内面をまっすぐに見ることができません。内面に気づくことは、私たちの想像以上に価値があります。相談に来られるクライアントの中には、自分を苦しめた問題の原因(理由)に気づいただけで、精神的に楽になった人も少なくありません。人は誰でも自分にある苦痛の原因がわからない時には辛い思いをしますが、その原因さえ理解できれば、不思議に気持ちが楽になったり、笑顔になれます。

    自分の内面への気づきのためには、どうすれば良いでしょうか?まずは、内面に関心を持つことです。職場での対人関係の悩みで相談に来られたAさんがいました。彼は、自分のことをよく理解していると言っていましたが、それは「仕事内容・学歴・経済的能力・社会的地位」などの周りの評価による自己理解でした。"私は何に喜びを感じ、何に怒りを抱くのか、自分は愛される存在なのか、自分が好きなのか、幸せなのか"などの根本的な疑問に対しての理解はなく、他人からの評価による見方だけがあったAさん。相談を重ねるとともに、彼は"自分はどれほど周りからの評価に敏感で、神経質になっていたのか"に気づき、そこから彼は自分への見方を変え、いろんな観点から自分を認めることができました。これは、自分の内面に関心を持ち始めたからできたことです。

    心は常に動いています。心はマニュアルで操作できるものではないため、心の波(感情の変化)に関心を持つ必要があります。また、心は壊れやすいものでもあるため、内面の声に耳を傾けることも重要です。傷付いた心には「慰め」を、疲れた心には「休息」を与えることは、内面の声に耳を傾ける時にできることです。さらに、心理学的心性(psychological mindedness)を意識することもあるでしょう。これは、問題の原因を外からではなく、まずは自分の内面から探そうとするもので、これによって自己省察能力と共感能力が高まったりします。
    普段、人が何かに関心を持つ理由は、"それが大切だから、それがなければ困るから"ですが、自分の内面へ関心を持つことは、それ以上の価値があります。人において最も大切な「心のケア」は、内面に関心を持つことから始まることを忘れないでください。

    1月号には、自分との向き合いⅡ・Ⅲ(内面を理解する・現実を認める)についてご紹介します。

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