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【連載】心のラジオ、COCOらじ 《Vol.16夏号》

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    皆さんは、「カジノ」にない3つのものについて聞いたことがありますか?「カジノ」には、「時計・鏡・窓」がないそうです。それはなぜでしょうか?その理由を考える前に、まずは「時計・鏡・窓」が持つ意味・役割について考えて見ましょう。

    「時計」は、時間の流れを教えてくれるものです。私たちが何かに夢中になって時間の流れを忘れてしまった時、現実を教えてくれるものです。過ぎてしまった時間に目が覚め、次のことを考えるきっかけとなってくれるものが「時計」です。「時計」のおかげで、私たちは無駄な行動を減らし、過ぎてしまった時間を振りかえながら、新たな決心をします。
    「鏡」は、私たちの現在の姿を映してくれるものです。顔や服装、髪の毛などを見ながら、乱れた自分を整えるためには「鏡」が必要ですが、そのおかげでいつもの自分を知覚し、自分に戻ることができます。
    「窓」は、現実の世界から外の世界へ導く通路の役割をします。「窓」の向こう側にある世界を眺めることで一瞬ではありますが、現実から離れて違う世界に触れる経験をします。
    このように人は、「時計・鏡・窓」を通して、現実の自分に気づき、自分を見つめ直す、そして、外の世界へ心を移す、とても不思議な体験をします。

    このような大切なものが「カジノ」には、なぜ、ないでしょうか?そもそも、「時計・鏡・窓」がない世界、消えた世界で人はどうなるでしょうか?きっと、見える現実に「集中」して一所懸命に生きるでしょう。そして、「集中」して生きる内に、おそらく「執着」という渦の中に巻き込まれてしまうでしょう。そして、「執着」の心によって、人の見方は歪み(判断力の低下)、個人の考えや感情に強く縛られ(自分の世界に固着)、結果、不自由な生き方をするようになるでしょう。
    「カジノ」では、人の心をゲームに「集中」させ、そして「執着」に導くために、自分を振りかえる働きを持つ3つのものを取り上げたわけです(ちなみに、カジノディーラーは定期的な休憩時間を取り、自分をリセットしながら、次のお客さんを迎える準備をします)。

    皆さんは、人生を「カジノゲーム」のように、「執着」に行きつく心で生きていますか?それとも、旅のように時間の流れを感じながら、外の風景を味わい、そして、鏡に映る自分の姿を振りかえる人生を歩んでいますか。忘れないで下さい。「集中」する生き方は素敵ですが、自分を振り返る時間が伴わないと、気づかない内に「執着」の渦巻きに陥ることを。さあ!まずは、「時計」を探しましょう。そして、「鏡」に映る自分の姿をみて、「窓」から見える外の世界に一歩、足を踏み入れてみましょう。現実に執着せず、今の辛さに縛られず、少し目を遠くにおいて、焦らずゆっくり生きていきましょう。次回では、「悪魔からの手紙」についてお話します。


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