東御こころの向き合いネット

困った時の相談窓口

【連載】健保の窓《NO.205》 ◆人生の学校 (入学条件と自由科目)

  • kenpo4.pngのサムネイル画像
    人生の学校 - 入学条件と自由科目 - 

     私たちの人生には、二つの学校があります。

    一つは、社会での成功を手に入れるための方法、または、人からの賞賛を受けるために必要な条件を学ぶ「人間の学校」であり、もう一つは、人の価値や生きる意味などの本質について学ぶ「人生の学校」です。

    「人間の学校」には、成績と成果という評価基準によって賞・罰の内容が決まりますが、「人生の学校」には、そのような評価項目はありません。
     「人生の学校」に入るためにはある条件が必要です。それは、社会での成功を手に入れた「豊かな心」ではなく、思い通りにうまくいかない人生に挫折し、心が打ち砕かれた状態、つまり「貧しい心」が入学条件です。

    この学校に入学した人々は、生きる意味や人の価値について常に悩みます。彼らは、「どうすれば、人から認められ、社会で成功できるか」よりも、「どうすれば、自分を縛り付けているこの苦しさから自由になれるのか」の「自由」についての疑問が多いです。

    だから、この学校では社会の成功基準を達成するための方法論的科目はなく、むしろ、自由に生きることを学ぶ科目がすべてです。立派な評価を得るための必要な条件、社会が合意した人の幸せの基準から脱皮する「自由」を学ぶ学校。この「自由科目」を教える所が「人生の学校」なのです。 

    私たちは、自分の幸せや生きる価値を他人の評価に頼ることが多く、自らの目を隠す盲人の道を選ぶことがしばしばあります。このような過去の自分に気づき、もう一度自分として生きるロジックを考える学びの時間。この時間を通して当たり前に思っていた幸せの条件に疑問を抱き、その疑問と向き合いながら、人生を歩むようになります。

    具体的に、この学校で向き合う疑問は大きく3つあります。
    1.What is Man?(人間って、何だろう?)
    2.What is our problem?(人生における問題は何だろう?)
    3.What can we do about it?(これをどうすれば解決できるのか) 

     このような疑問は、普段の暮らしからはなかなか得られないものです。幸せを求めて生きる人の前に突然現れた何らかの問題を通して気づくものです。その気付きは、「人って、生きることって、何だろう...」の疑問となり、「何が問題なのか?」の原因に目を向け、「どうすれば、解決できるのか」の答え探しに発展します。

     そして、その答え探しの時間を通して人の弱さや無力感を徹底的に味わい、「本当は、私にできることは何もなかった」ことを悟って「貧しい心」をいただくのです。「貧しい心」を持つと、他人の目には苦しい姿で映ったりします。周りから励まされるよりも無視されることも増えます。しかし、この心こそが本当の心の自由につながる唯一の切符なので、大切に保管して下さい。皆さんの中で今「貧しい心」で苦しんでいる人がいるでしょうか。自分を知るための数少ない「人生のチャンス!」だと心を切り替え、焦らずにその気持ちと丁寧に向き合ってみて下さい。

    自分として生きる自由・幸せの意味について新しい視点が広がり、心から有難うと言える自分に出会えるでしょう。

     次号では、「スーパーマンとバットマン ~心のシンボル~」についてお話します。


  • 東御市
  • 身体教育医学研究所
  • 長野県精神保険福祉センター
  • みんなのメンタルヘルス
  • こころの耳
  • こころもメンテしよう
  • 自殺予防対策センター
  • 国立精神・神経医療センター
  • かえるかわる

困った時の相談窓口