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【連載】心のラジオ、COCOらじ 《Vol.21秋号》

  • 今回は、「人生の宝石-ダイヤモンドと真珠の物語」についてお話します。皆さんは、ダイヤモンドがどのように作られるか知っていますか?
    ダイヤモンドが炭素の同素体であることはご存じだと思います。この真っ黒で、もろく見た目も悪い状態の炭素の塊に高温と高圧が加わることによってダイヤモンドの元ともいえる形ができ、そして、一気に上昇する火山の噴火を通して(地表近くまで運ばれて)、ダイヤモンドとして完成されるのです。
    真珠の話はご存知でしょうか?真珠の誕生を知るためには、真珠貝のからだを理解する必要があります。貝は、自分で貝ガラを作ってやわらかな体を守る生物です。この貝ガラを作る働きをするのが「外套膜」と呼ばれる膜で、この膜には呼吸をしたり、エサを取り込んだりするために必要な海水の量を調整する役割もあります。時には、水中の小さな砂などの異物が貝ガラと膜の間に入り込んだりしてその異物の刺激によって膜の表面が破れることがあります。そうなると、貝は自分の体を守るために異物を包み込む袋、「真珠袋」を作りますが、この「真珠袋」が次第に真珠になっていくのです。人に宝石だと言われているもの、魅力的な姿をした「ダイヤモンド」と「真珠」はこのような過程を通して生まれるのです。

    この二つの話には、人の心に届ける深いメッセージが含まれています。炭素の塊が直面するマグマ層という過酷な環境、真珠貝が経験する砂や異物からの刺激、一つの宝石が完成されるまでの数多くの試練や痛みの時間は輝く姿に生まれ変わるための過程であったということです。

    私たちの生きる姿も同じようなものです。一人ひとりに与えられた限りがある生の時間で、時には苦しみ、時には痛み、時には挫折し、時には涙ぐむことが多々ありますが、その時間は自分だけの誰にも真似できない「人生の宝石」を作り上げる練達の時間であることを。だからこそ、自分の中に炭素のようなもろく見た目も悪い姿があったとしても、人生の隙間から砂のような異物が入り込んだ瞬間であっても、気を落さず、勇気をもって今を丁寧に生き続ければ良いのです。あなたの人生で直面する数々試練や苦痛は、上手に包み込む生の形を学ぶことによって必ず「輝かしい宝石の姿」として出来上がることを忘れないでください。

    試練という名をもった過酷なマグマ層や砂のような異物に出会った時、これからは心の勇気を手放すことなく、今を生きる選択に迷わないでほしいです。なぜかというと、その出会いは、あなたを「人生の宝石」として作り上げるための数少ない人生のチャンスだからです。
    次回では、「心の便秘 -吐き出す勇気-」についてお話します。

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