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【連載】心のラジオ、COCOらじ 《Vol.22新春号》

  • 今回は、「心の便秘-吐き出す勇気-」についてお話します。

    2年前の夏、オーストラリアのゴールドコーストで開かれた国際メンタルヘルス学会に参加した時のエピソードです。正確に言えば、学会場に向かっている間に生じたできことです。
    約12時間の長距離移動になると、機内ではいろんなサービスが用意されていることを皆さんもご存じでしょう。無料で観られる映画やドラマ、国内線とは少し違う座り心地の良いシート、そして、数回出て来る機内食です。もちろん僕にとって最も楽しみだったのは、やはり機内食でした。この日は夕方の遅い時間帯発の便だったので、空港ですでに夕飯を済ませていましたが、しかし、空で食べる食事の魅力もあり、お腹が空いていないのに夜の機内食を食べました。機内なので自由に体を動かすこともできず、消火に苦しんでいるとその内に次の食事が出てきたのです。断れればよかったのですが、せっかくでしたし、もったいないなと思い、また食べてしまったのです。
    消火できないまま食事を続けたせいか、息は荒れ、体は重く、頭痛まで出てきて体調を崩してしまいました。映画を観ても面白くなく、休もうとしても休めず、空の風景をみて気を紛らわそうとしても全く目に入らず、段々と悪くなっていく体調の変化を不安と思いながらいた瞬間、体の限界を感じ直ちに機内トイレに移動し、胃袋にあったすべてのものを外に吐き出したのです。
    吐き出しながら、'なんでこんな馬鹿なことをしたんだろう'、'うわ!汚い、恥ずかしい'、'お腹が苦しい・喉も痛い'、'でも、せっかく食べたのにもったいない'などいろんな思いが頭の中で浮かんできました。
    しかし、面白いことに僕を苦しめていた消化できない物がお腹から消えたら目の前の世界が変わってきたのです。今まで楽しめなかった外の風景や雲の上の景色がトイレの小さな窓から目に入り、汗もかき、涙も出て、顔は汚れていましたが、僕の目に映る世界はまったく違う美しいものでした。
    人は心の中にもいろいろと消化しきれていない物を抱えて生きています。時には、死ぬほど辛いのに必死こらえて外に出さないようにしたり、楽しいことをしながら忘れようとしたりもします。しかし重要なのは、自分の中にあっても自分の物として消化できないものは、自分のものではない事実で、抱え続けば続くほど苦しさだけを感じ、時には体のリズムを狂わせる毒素に姿を変えていくのです。
    気づかないまま食べてきた今でも消化しきれていない心の中の荷物はありませんか。時には、勇気を出して吐き出し、そのものから離れる選択をすることも大切です。その選択は、今まで気づけなかった自分の姿や周りの風景、そして新しい見方を得るチャンスにつながるのです。
    負担や違和感を感じながら、仕方ないという言葉を前に無理に詰め込んだ心の荷物はありませんか?それがきっかけで今でも心の消化不良になって苦しんでいる自分の姿はありませんか?
    次回では、「心の便秘② -吐き出せない理由-」についてお話します。



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