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【連載】健保の窓《NO.211》 ◆こころのランゲージ (あなたを支える一つの言葉)

  • こころのランゲージ -あなたを支える一つの言葉-  

    少し勇気を持って海外に出ると、いろんな楽しみが旅人を待っています。
     素晴らしい自然や見たことのない建築物、美味しい食事や言葉が通じない人との出会い。
     いつもの世界とは違う異文化に触れながら、珍しい経験をし、心は楽しく踊ります。 

     せっかくの旅の時間、もっと楽しい旅を過ごすには、どうすれば良いのでしょうか? 

    まずは、その国をよく知ることです。
     
    ガイドブックを読み尽くすだけではなく、旅先で出会う現地人とのコミュニケーションのために時間をかけましょう。 
    町の様子やお勧めの場所を聞き、複雑な道を案内してもらうことで、旅は一層楽しくなるはずです。 
    もちろん、町の人と通じ合い、分かり合えるためには、その国の言語を知らなければならないですが。

     言葉を知ることは、旅の世界が広がることや異文化を理解すること、また、道に迷って困った時に旅人を守ってくれる力なのです。

     生きる旅も同じです。 

    人生の列車に乗った私たちが、悔いのない人生の旅を続けるためには、生きる上で必要な言語を学ばなければなりません。 
    人生の言語を知ることで、生きることへの理解が深まり、広い世界を感じながら、旅を続けることができます。 
    時には、人生の道で迷って困った時に戻れる居場所を教えてくれる声、これも人生の言語を知る上で得られるものです。  

    人は、子どもから大人になっていく過程でそれぞれの人生の言語を学びます。 
    そして、学んだ言葉を使って生きる道を選択し、周りを評価しながら、自分の行動についての価値判断をします。

     ある日、40代後半の鈴木さん(仮名)が相談に来られました。
     彼は、自己否定や自己批判の意識がかなり強く、相談を進めながらその理由を話している内に彼があることに気づきました。

     "僕は、長男として生まれました。 
    家は広い農園をしていて、将来この家系を引き継ぐ者として親は僕を考えていたらしく、とても厳しく私を育てました。 
    父の言葉はいつも乱暴で、ちょっとしたミスでも、「お前はな、だからダメなんだよ。 バカ息子!もっとしっかりしろ!本当に頭が悪いんだから」、のように怒鳴り散らしていました。

     いつの間にか、その言葉が自分の言葉のようにすり替わり、学校でも、会社でも、結婚生活においても上手くいかない場面に出会うと、やっぱり僕はダメなんだよ、父の言う通りだな、のような言葉を口癖のように言っていました。 
    上手くいく時でさえ、こりゃ、たまたま運が良かった結果だから、喜ぶことでもないよ。" 

     人は1分間、400単語以上の言葉を自分にかけることができると言われます。 

    人は言葉によって生きる存在で、だから自分を支えてくれる一つの言葉に出会う必要があります。

     あなたは、今自分にどのような言葉をかけているでしょうか。
     自分を助ける言葉でしょうか、それとも、自分を否定する言葉なのでしょうか。 
    今からでも、困った時にあなたの心を支えてくれる言語を見つけて、繰り返し暗記し、自分の言葉にしていく必要があります。  

    次号では、「こころのランゲージ-心と言葉は同じもの-」についてお話します。

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