こころのランゲージ - 毒針と言葉という武器 -
何が自分にとって最も大切な選択なのか、人という生物は、時々優先順位に迷ったりします。
極端的な例え話を一つしたいと思います。
ある人が道を歩いていました。
ある所から急に毒針が飛んできて刺されてしまいました。
さて、あなたがその人なら何からしますか?
もちろん、素早く毒針を抜き出して体に毒が広がらないように手当をしたり、傷口の治療をしたりするでしょう。
しかしですね、ほとんどの人が先に取ってしまう行動があります。
それは、飛んできた方向を見ながら、"誰だ!誰がやった!"と怒鳴り散らすことです。
その間、毒は確実に体に浸透し、大事な体がダメになってしまいます。
言葉との関係も同じです。
嫌な言葉、猛毒のような言葉の矢に刺された時、人はどうするのでしょうか。
心を傷つける言葉の矢を素早く抜き出し、心の傷口をケアすることを優先的にする必要ですが、多くの人は、"何であの人が私にそんなことを言ったのか、今は我慢するけど、いつか倍返してやる"のような、嫌な感情に絡まれたり、相手を責めたりします。
その間、相手からの言葉の毒は、心を弱らせ、怒りや憎しみなどの嫌な感情を心に浸透させます。
また、自分を大切にするよりも、相手からの批判的な声をそのまま飲み込んだりしてしまうこともあります。
人からの言葉だけでなく、自分が発している言葉も注意すべきです。
相手に発する自分の言葉は、相手に伝わる前にまずは、自分が影響を受けるということを知っていますか。
脳には、主語がないので、相手に悪口を吐いた瞬間、脳は、自分の物として捉えてしまうのです。
結果、相手に嫌な言葉が届く前に、自分がその言葉によって心に嫌な影響を受けてしまいます。
あなたは、自分の言葉をどのぐらい大切に考え、管理しているのでしょうか。
外科医にとってメスは、とても大切な物です。
人の命を助ける道具でもあり、人の命を奪う武器でもあるからです。
だから、正しく使うために長い時間をかけて勉強し、実習を重ねます。
軍人と銃の関係も同じで、入隊するとすぐ本物の銃が渡されるわけではありません。
私も韓国で22歳から24歳までの3年間、軍人でしたが、実弾で本番の射撃をするためには、たくさんの訓練を積み重ねます。
訓練の中には、射撃と全く関係ない辛いイジメのようなものもありますが、
しかし、そのすべての目的は、銃を持った時の心の構えに関係するものです。
銃には、命を守る力と殺す力があるからです。
言葉はどうでしょうか。
言葉にも命を助ける力と殺す力があると言いました。
言葉は、希望の種でもあり、死への招待状でもあります。
その言葉を武器として使っている人は、誰でしょうか?
カウンセラー?教師?
いいえ、私たちすべてに言えるものです。
その言葉を正しく使うために、あなたはどのぐらい悩み続けているでしょうか。
あなたの言葉で誰かが救われ、あなたの言葉で誰かが苦しい思いをしているのであれば、どうしますか。
口を離れた言葉は、拾うことができないことを意識し、生きる上で必要な言葉の整理、新年度には少しやってみませんか。
次号では、「こころに届くコミュニケーション-7・38・55のルール-」についてお話します。