兵士の銃、外科医のメス、そして人の言葉
- 人を助ける力・人を殺す力 -
軍人の銃、外科医のメス、人の言葉にはある共通点があります。
それは、使い方によっては人の命を助けることができるが、一歩間違えると人の命を落としてしまう武器になることです。
まさに、「両刃の剣」と言えるでしょう。
だから、軍人は射撃訓練をする前に凄まじい緊張感の中で射撃場に入りますが、理由として少しでも気が緩んで安全事故を起こさないためです。
私が軍隊で狙撃手として働いていた時もそうでした。
毎日の射撃訓練はとても辛いものでしたが、実際に銃を撃つ2時間程度よりも射撃場に入る前の厳しい意識訓練、精神武装などの教育がとてもしんどかったです。
同様に、研修医が一人前の外科医としてメスを手にし、死生の境にある人の命を助けるためにも長い時間をかけて勉強や経験を積み重ねていくのです。
これらの一連の作業は、無意識の中からも間違えて味方にライフルを撃ったり、手術患者の血管を間違って切ったりしないように、訓練に経験を重ねていく過程です。
人の命の尊さとそれにかかわる仕事の重大さを知っているからでしょう。
では、言葉はどうなんでしょう。言葉を武器として使う人は誰でしょうか?
カウンセラーや教師、メディア関係者、いろんな分野の専門家のような人の前で話す機会が多い立場の人たちだけでしょうか?
それとも声を出して言葉を使い、自分の考えがいるすべての人でしょうか。
あなたは、自分の言葉についてどの程度の意識を持ち、慎重に考え、使い方に気を付けているのですか?
「両刃の剣」のような言葉をあなたはどのように管理をしているのでしょうか。
以前、韓国芸能人の自殺問題が世界メディアで報道され、注目を浴びたことがありました。
韓流ドラマ「冬のソナタ」に出演していた「パクヨンハ」氏の自殺問題は、アメリカのBBCをはじめ、中国、日本などの各国のメディアに取り上げられました。
特に、パクヨンハ氏の自殺原因についてインターネットによる影響が注目され、2008年に亡くなった女優「チェ・ジンシル」氏の自殺問題についても、インターネット上での悪質な書込みが自殺に大きい影響を与えたと報道されました。
警察の調べの結果、悪質な書込みに関わっていた関係者2人が逮捕され、その時からネット上での書き込みについて法的に規制する「チェ・ジンシル法」が作られたのです。
今日の多数のSNSを始めとするネット社会では、仮名であることを利用し、根拠のない「批判性書込み」が多くみられますが、その副作用はとても深刻なもので、いずれ自分の帰ってくるブーメランになること、あなたはご存知でしょうか。
まず、あなたから、いや私から、自分の言葉を人の助けになるものとして高い意識を持って使って生きたいのです。
次号では、「画鋲とカラーマグネット、そして壁の笑顔」についてお話します。